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by pla-shizu

プラ静タウンミーティング「DMVが走る?」

 こんにちは。荻野です。
 予告していたDMVについてのタウンミーティングを開催しました。
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 参加してくださった皆さん、どうもありがとうございます。今回は市の内外から、約15名の方が参加してくださいました。顔見知りばかりだった前回と異なり、新聞やネットで見て飛び入り参加してくださったという方も、何名かいらっしゃいました。

 さて、今回は「富士市DMV導入計画」についての賛否について討論を行ったわけですが、まずは、この計画についてちょっとご紹介することにしましょう。

 富士市では、「まちづくりの目標」として、「市街地の拡大を抑制し、まちなかへの居住促進、機能集積を目指すコンパクトなまちづくり」を考えています。
 そんな「まちづくりの目標」を達成するための、「手段」として考えられたのが、このDMVというわけです。

 DMVを導入することで、「東西方向の公共交通機軸」をシームレスに形成して、①新幹線と在来線の接続による広域的なアクセス機能、②分散した市街地の連携を強化、③岳南鉄道への乗り入れによる鉄道と道路のシームレス化、④鉄道ネットワークの補完機能が期待でるきとされています。

構想ルートは、
A区間 新富士駅~富士駅(線路・専用道路)
B1区間 富士駅~富士本町商店街~富士中央病院~市役所~吉原中央駅~吉原商店街~岳南鉄道:ジャトコ前駅(一般道)
C区間 岳南鉄道(ジャトコ前駅~吉原駅~岳南江尾駅)
B2区間 岳南江尾駅~東田子浦駅(一般道)

初期費用は、26.6億(南ルート案)、70.1億(北ルート案)
年間経費は、5.6億(市の負担は1.6億~1.7億)
です。

 さぁ、この計画について、皆さんはどうお考えになりますでしょうか?
 今回のタウンミーティングで、論点ごとにどんな意見が出たかを、ざっと紹介いたしましょう。


論点1:富士駅と新富士駅の接続

【DMV賛成】
 富士駅と新富士駅を何らかの公共交通で接続する必要がある。
 DMVの専用線があれば、富士駅・新富士駅間の、定時走行が可能になる。(一般道路では、蓼原大橋の手前で渋滞してしまい、定時走行が難しい)

【DMV反対】
 富士駅と新富士駅の間の距離はせいぜい2キロ程度で、わざわざ専用線を作るのは無駄。渋滞も大したことはない。
 新富士駅に降り立ったほとんどの人は、新富士駅周辺の駐車場からマイカーに乗って各々の目的地に向かっている。富士駅~新富士駅間の公共交通を利用したいというニーズは、身延線で富士宮に行く人くらいではないか?

【その他】
 まずは既存のバス路線の利便性を向上させるべきではないか。表示や運行系統があまりにも分かりにくく、市外の人はまず利用できない。


論点2:富士市内の東西機軸交通

【DMV賛成】
 富士市は主として旧富士地区と旧吉原地区から成り立っていて、それを東西に結ぶ交通の機軸が必要。DMVであれば、新富士駅~富士駅~中央病院~市役所~吉原中央駅~岳南江尾~東田子浦駅という富士市の主要拠点を、シームレスでつなぐことができる。
 東海道本線が機軸では、吉原地区の中心地に機軸交通が通らないことになってしまう。(吉原駅が吉原中心市街地から離れているため)

【DMV反対】
 富士市の東西交通の機軸は、輸送量から考えて東海道本線と位置づけるのが妥当で、DMVでは明らかに輸送力が足りない。その他の地域の公共交通網としては、東海道本線の駅を拠点として、フィーダー(枝)のコミュニティバスなどを走らせる方が現実的。
 富士市はちゃんと道路があるのだし、交通渋滞だって少ない。DMVじゃなくて普通のバスを東西に走らせた方が、安いし、輸送力もあるし、良いのではないか。

【その他】
 廃止された「ふじ丸」のようなバスを復活させて欲しい。
 DMVの予定ルートに普通のバスを走らせて、しっかり実証実験をやってみて、それでもなおDMVでなければならないという事情があったら、その段階でDMVを検討したらいいんじゃないか。
 

論点3:コンパクトシティ化

【DMV賛成】
 少子高齢化の進展により、インフラを市内全域に整備することは難しくなっていく。DMVのような新交通を呼び水に、中心市街地への集住化を促進していく必要がある。

【DMV反対】
 雪の降らない富士市では、コンパクトシティ化をする必要性は乏しく、むしろクラスター型のまちづくりを目指すほうが現実的ではないか。
 わざわざコンパクトシティ化をするのであれば、公共交通網をもっときめ細かく配備して面のように整備することが可能になってくる。小回りの効くコミュニティバスなどを走らせた方が、コンパクトシティとしての魅力は大きいだろう。


論点4:岳南鉄道の問題

【その他】
 富士市のDMV計画では、岳南鉄道から旅客列車が消えてしまうことになる。DMVの輸送能力では、現在の岳南鉄道利用者の需要をとうてい賄うことができない。


論点5:地域による事情の違い


【富士の東の方の地区】
 吉原の中心市街地への交通手段と言われても、あまり必要性を感じない。
 むしろ沼津への交通手段が重要。
 DMVよりも、岳南江尾と東田子浦駅の間に早急にバス路線が欲しい。


論点6:誰が使うのか?(利用者の視点)

【DMV反対】
 現在バスを使っている障害者やお年よりは、DMVよりも、もっと身近で使い勝手の良いコミュニティバスが増便・路線充実されることを望んでいる。DMVに投入する費用を、そっちへ回すべきではないか?

【DMV賛成からの再反論】
 コミュニティバスとDMVは両立できる交通体系。幹の部分の交通はDMVが担って、そこから枝のようにバス路線などを充実させていくなど、総合的な公共交通の体系の中にDMVを位置づけて考えてほしい。



このタウンミーティングに関するブログ
富士市議会議員 小池としあき「DMVを考えるタウンミーティング その1」
富士市議会議員 小池としあき「DMVを考えるタウンミーティング その2」
フジブログ「DMV、本当にいりますか?」
富士市議会議員「山下いづみ」続・いづみの空間「タウンミーティング」
私的文化財「DMVについて」
by pla-shizu | 2010-02-01 15:35 | 活動報告