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by pla-shizu

プラ静タウンミーティング 富士・富士宮、合併するの?

 3月21日のタウンミーティングには、富士・富士宮双方の市民と、市議・県外の専門家ら15人が参加してくださいました。ありがとうございます。
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 議論はまず、合併賛成の方には「何のために合併をするのか?」、合併に慎重な方には「どうして合併が不安なのか?」と、参加者全員の意見を聞くところから始まりました。

何のために合併をするのか?

・富士地区が合併をして、環富士山広域都市圏を一体的にデザインしていかなければ、静岡市を中心とした都市圏と沼津・三島を中心とした都市圏の引力によって、富士地区の活力が霧散してしまう危険性があるから。
・世界的な都市間競争を勝ち抜くためには、人口規模・財政規模の拡大が必要であるから。
・広域的な視点を持って、交通網整備などの都市計画を行う方が効率的であるから。
・症例数の多い市立病院を運営すれば、地域医療の質を向上させられるから。
・富士・富士宮は、元々地域として一体的であったのに、国の政策で境界が定められ分割されたというのが実態であるから。
・食の生産地である富士宮と、消費地である富士市が合併すれば、食の循環が成立する。他の分野でも富士地区が合併することで、地産地消的な地域循環の効果を期待できるから。

以上のようなメリット・必要性については、出席者のほとんどが納得。


どうして合併が不安なのか?

・福祉分野などのミクロな問題に、行政の目が届かなくなる危険性があるから。
・富士駅周辺の空洞化問題など市内部の問題を総括しないまま、合併を進めることに不安があるから。
・面積が広がってしまうと、市役所から遠い地区の問題(不法投棄問題など)に対応できるか不安があるから。
・目的である合併後のビジョンが見えないままに、手法としての合併論議が先行することに不安があるから。
・富士地区と吉原地区の統合問題も未解決なのに、富士宮と合併して大丈夫なのか不安があるから。
・各地域のアイデンティティーを無視してよいのか疑問であるから。
・入会権の問題など、後の世代に迷惑がかかる可能性が排除しきれていないから。

以上のようなデメリット・問題点についても、出席者のほとんどが納得。


 合併賛成・慎重の双方の意見を出し合った上で、議論は「都市内分権」をどう考えるかに移りました。


都市内分権のあり方

・人口40万人で、しかも広い面積となれば、小学校区か中学校区ぐらいの各地区ごとに、権限を持たせる必要があるだろう
・富士市だけでも、かなり大きいし、都市内分権は合併しなくても考えていく必要がある

 といった意見にはだいたいの人たちが賛成しました。
 しかし、都市内分権をどう進めていくかについては、

・富士市では、「まちづくりセンター」を中心とした地域自治を模索している

という事例が紹介されたものの、、

・一部の「長老」たちの、偏った意見ばかりが市に届けられることにならないか
・高齢化の進む町内会を中心とした組織では、実行力がない
・地縁組織も民生委員も、縦割り行政の末端になっているため、自治を担うのは難しい状況

といった懸念が相次ぎ、それの解決策として、

・本気で都市内分権を考えるのであれば、行政側から人員の派遣も必要
・新しいタイプのNPOが、地域の意見集約を行い、地域サービスを担っていくべきではないか
・地方自治法を改正して、市・郡の組織のあり方そのものを見直す必要もあるのではないか

などの指摘が出ました。

住民投票問題

 最後に議論は、今後の合併問題の扱い方をどうするべきかというテーマに移り、議論を尽くした上で住民投票を行うべきか、住民投票なしに速やかに合併を行ってしまうべきかで、合併推進派も意見が分かれました。
 この点については、時間の都合上、しっかり議論できませんでしたが、さて、皆さんはどうお考えになりますでしょうか?


解説
 司会:プラットフォーム静岡代表 荻野幸太郎

 今回のタウンミーティングは、出席者が福祉・学術・市民活動などの第一線で活動している人ばかりだったこともあり、単純な合併賛成・反対の議論ではなく、仮に合併するとしたら手当てすべきことは何か、仮に合併しないとしたら手当てすべきことは何か、といった流れの展開になりました。

 合併しない場合でも、行政運営の効率化のために「一部事務組合」のような選択肢が有り得ますが、しかしそれでも、市役所は二つ、市長も二人必要です。これを互いに競争して学びあうチャンスと考えるのか、コストが倍かかって無駄ととらえるかで、評価が分かれることになるという議論は、私としてもたいへん興味深かったです。
 逆に、合併する場合、マクロ的視点での行政は可能になってくるものの、ミクロ的な問題で機動力に欠けたり、意見集約が難しくなったりするデメリットが生じます。
 これを手当てする「都市内分権」のあり方に、今回は多くの時間を費やしましたが、今後の自治会のあり方をはじめ、議論すべきテーマは多岐にわたっているように思いました。



このタウンミーティングに関するブログ記事等
日刊りゅうすけ【富士宮市議会議員「深沢りゅうすけ」の日記】
フジブログ【富士郡が消滅】
鈴川倶楽部へようこそ!【明治30年代の鈴川郷の地方政府参加(5) 】
秘密基地なブログ【プラットホーム静岡/富士・富士宮、合併するの?】

by pla-shizu | 2010-03-22 20:54 | 活動報告